ニューズレター 第104号(2018.9.12発行)


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 日本キャリア教育学会ニューズレター 第104号(2018.9.12発行)

                   発行:日本キャリア教育学会 情報委員会
                    https://jssce.jp/
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■ 【コラム】東京の大学における遠距離通学
               法政大学キャリアデザイン学部 田澤 実
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 2017年6月に閣議決定した地方創生施策の新たな基本方針で「東京23区の
大学は、定員増を認めないことを原則とする」という規制の導入が盛り込ま
れた。それに対し、日本私立大学連盟は同年9月に批判的な見解を示し、
「東京23区内の大学の総定員規制を行ったとしても、地方の若者の東京志向
が収まる訳ではない」と指摘した。
 筆者の勤務校である法政大学は東京都内に3つのキャンパスがある。それ
ぞれ市ヶ谷(東京23区内)、多摩(東京西部)、小金井(およそ市ヶ谷と多
摩の中間)である。本コラムでは法政大学の「学生生活実態調査」から見え
てくる"通学時間が長くなっても自宅から通う学生"に焦点を当ててみたい。
2007年度と2017年度を比較してみると以下のような特徴が見られる。
 自宅から通う学生は大学全体で67.7%から72.9%に増加した。内訳は市ヶ
谷で71.4%から76.6%、多摩で59.7%から63.3%、小金井で68.5%から76.9%
であった。また、2時間以上かけて通学する学生は大学全体で7.4%から9.2%
に増加した。特に多摩(14.0%から16.8%)と小金井(9.1%から17.7%)で
その増加分が大きかった(なお、市ヶ谷では1時間~1時間30分の通学時間の学
生が33.8%から38.6%に増加)。これらのことは、大学全体で自宅生が増加し、
通学時間が長くなっていることを意味している。
 最寄駅について、多摩は西八王子駅、市ヶ谷は市ヶ谷駅とした場合、90分ほ
どでそれぞれ山梨県の甲府駅、栃木県の小山駅付近まで移動ができる。それぞ
れの県の大学数を見てみると、山梨県は7校、栃木県は9校である(平成29年度)。
それぞれ県内受験のみの場合は、文系or理系、国公立or私立の区分をしただけ
で選択肢は限られたものになる。
 東京の大学における遠距離通学者の実態は今こそ詳細を調べる価値があるの
ではないだろうか。

引用文献
法政大学「法政大学学生生活実態報告書」(各年度)
日本私立大学連盟 「大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る
認可の基準の一部を改正する告示案」への意見 (平成29年9月)
文部科学省「学校基本調査 平成29年度」
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